セキュリティトークンにおける「Custody(資産管理)」のプレイヤーとして位置付けられるPrimeTrust。PrimeTrustが行う業務とは何か。
投資家や顧客などに代わって暗号資産の管理を行う業務を基本的なサービスの柱としている。それらは米国の規制に遵守した形で提供される。ユーザー自身が各種サービスをAPI経由で参照・更新できる構成になっている。
PrimeTrustとは
暗号資産も取り扱う信託会社であり、米国SECの規則に基づく「銀行」である。
暗号資産の保管をはじめ、法令に則した取引やFIATへの交換を行うためのサービス、ポートフォリオ管理などを包括的に提供。暗号資産に限らない金融周辺の技術とノウハウに強みを持っており、APIで様々な資産に即座にアクセスできるようになっている。
PrimeTrustの主要サービス
投資家や顧客などに代わって暗号資産の管理を行う業務を基本的なサービスの柱としている。それらは米国の規制に遵守した形で提供される。ユーザー自身が各種サービスをAPI経由で参照・更新できる構成になっている。
資産保管サービス(*おそらく現在のメイン業務)
BTC・ETH・ERC-20トークンを保管するサービスを提供。
エスクローサービス
証券の取引、FIATへの交換などを米国内の規制に遵守しながら、代理で実施。
AML/KYCサービス
米国愛国者法に準拠したAMLプログラムに基づき、顧客データを収集・分析し、顧客の身元確認を行う。トークンや送金/受信ウォレットがマネーロンダリングに関わっていないか、法令に遵守しているかを確認する業務を行っている。
PrimeTrustのAMLスクリーニングに含まれるもの
- OFAC(米財務省外国資産管理局) - SDN(特定国籍業者)リスト
- OCC(米通貨監督庁) - 不正な銀行
- HM Treasury(英大蔵省) - 金融制裁目標の統合リスト
- OSFI(カナダ金融機関監督庁)
- CFTC(商品先物取引委員会)および自主規制機構の規制リスト
- 国務省- テロリスト入国拒否リスト
- 国防貿易管理局(DTC) - 武器輸出管理法(AECA)違反者
- 国連指定テロリスト
- 欧州連合指定テロリスト
- 米商務省産業安全保障局 - 未検証エンドユーザー、禁止組織および禁止顧客リスト
- 連邦捜査局(FBI)リスト(ホワイトカラー&サイバー犯罪リストを含む)
- FARA(外国代理人登録法)
- 世界銀行 - 不適格企業リスト
- 国際刑事警察機構 - 最重要指名手配および国際逮捕手配書
- 金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN) - Special Alertリスト
- PEP(重要な公的地位を有する者)
- テロ資金調達リスト
- ゲーミング委員会 - 制裁リスト
- 米社会保障局(SSA) - Death Master File検索
- その他
APIでの各種サービス提供
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Custody(資産管理)
ユーザーのアカウントを開設し、ウォレットにトークン・コインを保管できる - Exchange(交換)
- StableCoin / Tokenized Assetの作成
- アセットのトークン化代行
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Escrow, Initial Offerings
Regulation A, D, S, CFに基づく証券化業務(STOを含む)の資金処理および会計処理 - KYC/AML
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資金処理
電信送金(SWIFTを含む)、ACH、小切手、及びクレジットカードによる受送金
暗号通貨の受入れと変換オプションも含む
(ここは推測) サイト内部では明言されていないが、これらの代理サービスの直接の顧客は個人だけとは限らず、おそらく、メインの顧客は取引所などのクリプト関連サービスを提供する法人・団体であると思われる。
セキュリティトークン/STOにおいてPrimeTrustはどういう立ち位置か
PrimeTrustは「Custody(資産管理)」のプレイヤーとして見なされている。
証券法に依拠するトークン=「セキュリティトークン」である故、運用にあたっては有価証券と同様に規制に則った運用が求められる。(法令に遵守することがセキュリティトークンにおいて大きな関心事になる)
PrimeTrustは、法令に遵守した暗号化証券の売買・取引・保管を行える体制を作っている。今後、長期的に需要が増すとされるセキュリティトークンの「信託・資産管理」において、重要な役割を果たしていくのかもしれない。
リリースされたPrimeTrustの動き
- ●BTC/ETH/Ethererum ERC20トークンの保全サービスのローンチ(2018/09/25)
- ●クラウドファンディングのシステム開発会社「FundAmerica」の買収(2018/07/24)
⇨現在公開されている一部APIはFundAmericaのものが使われている。 - ●ステーブルコイン(ペグ通過) StableUSDをローンチ(2018/11/1)