急増するステーブルコイン(Stablecoin)。代表的なステーブルコインの一覧を、その分類ごとに紹介する。
J-Coin・MUFGCoinなど日本でも急増中。なぜ価格が安定するのか? 担保方法と共にステーブルコインの種類・分類一覧を俯瞰する。
ステーブルコインとは?
USDやCNYなどの法定通貨と、価値がほぼ一対一に安定になるコインの事。法定通貨を担保にしているものはペグ通貨・ペグコインとも呼ばれる。
暗号通貨はネットワーク上での価値転送を実現するが、投機などにより激しいボラティリティが発生する場合がある。ステーブルコインはそういった急激な価値変動を受けることなく、現実世界の価値からブロックチェーン・ネットワーク上への価値移動を安定的に実現する。
ステーブルコインの価値の安定は、現実世界の法定通貨やコモデティの保証によってもたらされるものもあれば、暗号通貨や一定のアルゴリズムによってもたらされるものもある。また無担保で行なっているものも存在する。
本記事は https://cryptoslate.com/stablecoin-classifications-regulations-and-tax-implications-from-a-certified-public-accountant/ (英語) の内容を要約し、代表的なステーブルコインを、7つの種類に分類し紹介する。
A. Fiat stablecoin | 法定通貨担保型
法定通貨とステーブルコインが、ほぼ1対1の関係を保つコイン。運営する各主体がコインの価値を、保有する法定通貨でもって担保する。その担保によりブロックチェーン上でのその価値が一定に保たれるという仕組み。
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A.Fiat stablecoin に分類される代表的なプロジェクト
TrueUSD: https://www.trusttoken.com/trueusd/
USDTether: https://tether.to/
PaxosStandard (PAX): https://www.paxos.com/standard/
Centre: https://www.centre.io/
Gemini Dollar (GUSD): https://gemini.com/dollar/
BitcoinAir(USDAP): https://bitcoinair.net/
J-Coin(みずほ銀行): https://j-coin.jp/
MUFG Coin(Coin, 三菱UFJ銀行): https://www.mufg.jp/english/ourbrand/featuredarticle/2016_03.html
B. Crypto stablecoin | 暗号通貨担保型
BitcoinやEthereumを担保にしながら、米ドルなどの法定通貨と価値が1対1になるように調整がなされるコイン。DAIなどはETHをドル換算した上で、その価値を元に担保する仕組みとなっている。ただしETHの価値は法定通貨換算で、DAIの150%分の担保を持たなければならないなど、実際保有する場合運用に気をつける必要がある。(そのリスクがあるものの、DAIは保有に高金利を設定するなど保有することへのリターンを受ける可能性があるなどのインセンティブが設定されている)
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B.Crypto stablecoin に分類される代表的なプロジェクト
bitUSD(by Bitshares) : https://bit.ly/2tPgj8b
DAI (by MakerDAO) : https://makerdao.com/en/dai/
nUSD (by havven): https://blog.havven.io/nusd-launches-today-e24fbe0ee9c9
Augmint: https://www.augmint.org/
C. Commodity stablecoin | コモディティ担保型
現実世界のコモデティ商品を担保し価値を安定させようとするパターン。金属(金, 銀, 白金, 銅...)や、エネルギー(原油, 灯油, 天然ガス)などがコモデティに該当する。
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C.Commodity stablecoin に分類される代表的なプロジェクト
Digix Global: https://digix.global/
HelloGold : https://www.hellogold.com/
D. Algorithmic stablecoin | アルゴリズム型ステーブルコイン
無担保型のBasisなどはアルゴリズムによって価値の変動を抑える。供給量を任意のアルゴリズムで自動調整することにより、無担保ながら価値の安定を実現する。
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D.Algorithmic stablecoin に分類される代表的なプロジェクト
Basis: https://www.basis.io/
Fragments: ttps://www.fragments.org/ *SSL証明書切れ(自己責任でアクセス)
Carbon: https://www.carbon.money/
Kowala:https://kowala.tech
E. Hybrid stablecoin | ハイブリッド型
基本はアルゴリズムでの自動供給量調整をベースに価値を担保する。それに加えボラティリティの低い債権や不動産などのリアルアセットをトークン化しそれを担保にしておき、いざ価格変動が激しくなった際には、それらリアルアセットを買いますあるいは売ることによって、価格変動を抑える。アルゴ+リアルを組み合わせて価値変動を調整する2構えのステーブルコイン。
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E. Hybrid stablecoin に分類される代表的なプロジェクト
Reserve (by Saga) : https://www.saga.org/currency
Aurora (by Boreal) : https://auroradao.com/platform/boreal/
F. Derivative-backed stablecoin | デリバティブ型
金融商品先物やスワップ、各種暗号資産のバスケットなど金融オプションを駆使することによって、価値を安定させることを狙うコイン。(該当のものが見当たらなかったので具体例は省略)
G. Sovereign stablecoin | 政府補償型
中央銀行または規制当局によって支援および承認されたコイン。事例としては経済が混乱しているベネズエラの政府が、石油を担保にした国家主導のステーブルコインを作成することを宣言するなどしている(https://cryptoslate.com/venezuela-petro-cryptocurrency-becomes-national-unit-of-account/)
参考文献
Stablecoin Classifications, Regulations, and Tax Implications from a Certified Public Accountant:
https://cryptoslate.com/stablecoin-classifications-regulations-and-tax-implications-from-a-certified-public-accountant/
Stablecoins in 2019: Reliable, Proliferating, Liquid, and Global:
https://media.consensys.net/stablecoins-in-2019-reliable-proliferating-liquid-and-global-6ec443586bf5